クイズ作家矢野了平、99人の壁制作秘話とテレビクイズ史を語る!
- サエグササエル
- 2022年10月31日
- 読了時間: 4分
2021年11月14・21日放送のTOKYOFM『空想メディア』にクイズを得意とする放送作家・矢野了平氏がゲスト出演。テレビにおけるクイズの歴史について語った。
テレビ界のクイズ番組の歴史をひもとく矢野。そこには時代の流行が大いに関係しているそうで、海外旅行が盛んになった時代には海外への取材を基にクイズを作るクイズ番組(『なるほど!ザ・ワールド』(81.10~96.03)、『世界まるごとHOWマッチ』(83.04~90.04)、『日立 世界・ふしぎ発見!』(86.04~)、『クイズ世界はSHOW by ショーバイ!!』(88.10~96.09)など)が増えた。
その後は、クイズ自体を競技として競い合う『クイズ王』系の番組(『カルトQ』(91.10~93.03)など)がクイズ人気を証明した。
そして2000年代からは、知識ではなく発想力を競い合う“ひらめき系”のクイズ番組が生まれ、台頭した。
矢野も番組放送作家として、『脳内エステ IQサプリ』(04.04~09.03・フジテレビ)でひらめき系を学び、『タモリのジャポニカロゴス』(05.10~08.09・フジテレビ)で日本語系を学んだと語った。
また、『クイズ$ミリオネア』(00.04~07.03・フジテレビ)のヒットにより、海外の人気クイズ番組のフォーマットを日本に持ってくるというのも流行った。
ミリオネア後期や『ウィーケストリンク☆一人勝ちの法則』(02.04~09)が放送されてからは、矢野は海外のクイズ番組をチェックするようにしていたという。
そしてロンドンブーツ1号2号の田村淳が司会を務めた『ザ・チーター』(05.10~06.08・TBS)や、ダウンタウンの浜田雅功が司会を務めた『THE CHAIR』(2005)などの海外発番組が放送され、クイズ×心理戦という組み合わせが注目された。
ただ、フォーマットとしてはやはり『クイズ$ミリオネア』が最強だと語り、最近はスゴい海外のクイズ番組が始まっていないと現状を報告した。
クイズ作家に求められるもの
2002年7月から始まった『クイズ!ヘキサゴン』がチーム戦の『クイズ!ヘキサゴンⅡ』(2005.06.15)にリニューアルされてからは、問題の製作量が倍増。後に作家として加わった日高大介が、その試験として、期日までに日が無い中、数百問を作成し、提出したら「明日までに追加で100問」と言われ、徹夜で作成して間に合わせたというエピソードを披露した。
最近放送されている、『クイズ!あなたは小学5年生より賢いの?』(2011,18,19.10~)では、画面を見て答える形式のビジュアル中心の問題が増えているため、今の若手はさらに大変だと語った。
この放送当時、『アタック25』の放送終了が話題に(BSJapannextでの再開は未定だった)。
番組終了により、問題文を耳で聞いて問題に答えるオールドスタイルの早押しクイズが無くなったため、日常で楽しむためのクイズの基本形として最後の砦だったと憂いた。
最近は、画面を見てわかった人が答えるというシステムが当たり前になり、アナウンスのアクセントから問題と答えを推測する、早押しのテクニックも需要が減ったと伝えた。
『99人の壁』制作秘話
矢野が一番テンションが上がり快感なのは、今までに無い番組をイチから立ち上げる事、関わる事。
フジテレビで『99人の壁』(2017,18.10~)の企画が通り、矢野は助っ人として呼ばれた。そしてシステムを聞いた時、おもしろいと感じていた。
その直後に、
ディレクター「収録、1カ月半後なんですけど…」
矢野「これ、でも、全部で600~700問ぐらい必要ですよ?」
ディレクター「…そういう事なんです」
と言われた時に、アドレナリンが出まくったと振り返った。
矢野は普段、面白い情報はメモやスクショし、また、答えが増減するなど、情報が変わったりした時もスクショしている。
そしてクイズ作りには、最近のキーワードからのひっぱりも必要なので、気を付けていると語った。
また、TBS『佐藤健&千鳥ノブよ!この謎を解いてみろ!』(2021~)にも参加。
ひらめき系の謎解きをテレビショーにするという試みにアドレナリンが出たと重ねた。
高度な謎解きブームとひらめき系の問題作成のための勉強や情報収集も欠かせない。
赤の上には土、白の下には日、青の下には月がある。銀で金、色の並びに見せて曜日というのに気付いた事をメモしておき、ひらめき問題用に取っておいたりしている。
また、結婚して子供が出来た事で、子供向けの図鑑などを見るようになったり、子供向けの言葉遊びを知ったり、それがけっこう為になると明かした。
美しいナゾトキ
21日の放送では、著書『美しいナゾトキ』についても語った。
元々、Twitter上で問題を品評しあう大会が行われ、全国から200作品が集まり、それをネット上でみんなで審査し、厳選されたものを矢野ら7人の委員がチェックし、1位を決めたという。
品評では短い文章で形成されていたり、こんなのよくあったなと思える良問が想像以上に集まった。そのため、これで終わらせるのはもったいないと矢野が出版社の知り合いに持ち込み、出版されることになった。
ただ、番組などのクイズ本と違い、美しさを重視したため、常人では解けない問題が多く載っているそうで、この本は解説を読んで、鑑賞して楽しむものであり、イメージは「答えがあるダヴィンチ・コード」だと語った。
矢野が大好きで観ていた『アメリカ横断ウルトラクイズ』の『○×クイズ』も、作り手になっていざ問題を作ろうと思うと、「ペンギンもしもやけになる?」など、あれだけ文を短くする勇気は無いと感嘆。
演出としても、あの短い問題文を福留功男アナウンサーが言い切ると、大勢の参加者が一斉に動き出すダイナミックさと切れ味が素晴らしいと絶賛した。
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