原由子、『希望の轍』のヒミツを告白
- サエグササエル
- 2022年12月18日
- 読了時間: 4分
サザンオールスターズの原由子が、2021年11月13・20日放送のTOKYOFM『桑田佳祐のやさしい夜遊び』で、これまでの楽曲に関する製作や演奏に関する秘話を語った。
原が尊敬するキーボードプレイヤー
13日の放送では原がイントロ製作について言及。
『C調言葉にご用心』(79.10.25)のイントロは、桑田が口で言ったメロディーをそのまま弾いてイントロにしたそうで、「すごくシンプルでいて、キャッチーで、いかにもバンドらしくて、今でも大好きな曲です」と語った。
『ミス・ブランニュー・デイ(MISS BRAND-NEW DAY)』(84.06.25)は製作当時、テクノサウンドが流行り始めていた事もあって、桑田から原に「テクノっぽいイントロにしたい」という要望があった。
それで原なりにテクノ風イントロを考えて思いついたそうで、当時はシンセサイザーで弾いて打ち込む、ということが出来ない時代だったので、まず譜面に書いて、当時のマニピュレーター(デジタルサウンド担当)の藤井丈司氏に打ち込んでもらったという。
ライブにおける演奏についても言及。
『希望の轍』(90.09.01)のイントロを原が弾くのだが、「緊張のあまりか、どんどんテンポが速くなってしまって…(苦笑)、今ではかなり違ったものになってしまっているんですけれども、まあ、それはそれで、楽しんでいただければなと思っています」と裏話を語った。
その一方、桑田のソロである『ほととぎす [杜鵑草]』(17.08.23『がらくた』収録)のイントロは片山敦夫氏が弾いており、その他担当する『月光の聖者達(つきあかりのおとこたち)(ミスター・ムーンライト)』(11.02.23『MUSICMAN』収録)なども含め、「魂がこもっているというか、心に響く曲が多くて、私が最も尊敬しているキーボードプレイヤーです」と称賛した。
原が影響を受けたアレンジャー
キーボードプレイヤーの原がシンセサイザーを使っての弦編曲を担当することも多い。
『DIRTY OLD MAN~さらば夏よ~』(06.08.09)は原が初めて【弦編曲:原由子】と表記された曲で、その後も2018年公開の映画『ビブリア古書堂の事件手帖』の主題歌で、原によるストリングスアレンジ(弦編曲)が行われた『北鎌倉の思い出』(ベストアルバム『海のOh, Yeah!!』(18.08.01)収録)や『愛はスローにちょっとずつ』(19.08.12)なども担当。
『DIRTYー』まではシンセサイザーの音を使うだけだったが、実際に生で金原千恵子ストリングスに弾いてもらうとやはり感動したと語った。
『北鎌倉の思い出』の弦編曲では、最初はシンセサイザーをストリングスの音にしてスタジオで弾きながらアイデアをどんどん出していき、桑田にも「ここはもっと盛り上げたら?」などのアドバイスを受けながら作り決めていった。
そして出来上がったものを第1バイオリン、第2バイオリン、ヴィオラ、チェロと振り分けて楽譜に起こし、ストリングスの金原千恵子に確認してもらって、後日、生音でストリングスを録音するというやり方を取っており、『DIRTY―』『愛はスローに―』も基本的には同じやり方であると語った。
一方、イントロや間奏のオーボエはシンセサイザーで弾いているそうで、これはストリングスの絡み方が気に入っているという。
曲によってはシンセサイザーの音の方が合う場合もあるが、やはり情念のこもったストリングスの生音は素晴らしいと語った。
こういった編曲方法について、原が影響を受けたアレンジャーはサザンや原のソロ楽曲でお世話になった八木正生氏(1932-1991)で、『涙のアベニュー』(80.02.02)や『シャララ』(80.11.21)など、弦のみならずジャズ出身ゆえのブラスアレンジのお洒落さも特徴的で、勉強になったと原は語った。
桑田の作詞法は
最新曲『Soulコブラツイスト~魂の悶絶~』の「幸せになれる“わっきゃない”のに」の部分(27日放送で桑田本人が「わけはないのに」と訂正)は、歌詞が入っていない仮唄の時点では、「What can I」と唄っていたそうで、桑田の作詞法は、メロディーを作りながら出てきた英語の歌詞を、後に日本語に置き換えていくという事が多いと明かした。
そして「What can I」の部分を「わっきゃない」としか置き換えられないとなって、そこから歌詞を作っていった結果、フラれた男の唄になっていったという。最初から物語のテーマがあったわけではないと語った。
また、『炎の聖歌隊 [Choir(クワイア)]』の「お待ちどうさん」の「さん」の部分は元々は、“素晴らしい”という意味の「awesome」や、“寂しい”という意味の「lonesome」だったそうで、そのイメージからこの歌詞になったという。
よく、桑田は“日本語の歌詞を英語っぽく唄っている”、と言われがちだが実際は、“英語の歌詞に似ている日本語を探して歌詞を作っている”と解説した。
ただし、ロックのリズムに乗りやすい言葉を探して、時には『スキップ・ビート(SKIPPED BEAT)』(86.07.05)のように「スケベー」と唄っていたのを「SKIPPED BEAT」と日本語を英語にし、『Yin Yang(イヤン)』(13.03.13)も「イヤン」と唄っていたのを、たまたま陰陽の意味を持つ「Yin Yang」を見つけ、適用したという。
以前、桑田は原に「ノリのいい日本語って、スケベ―とかマンピー(『マンピーのG★SPOT』)とか、トボけた言葉が多いんだよ」と語っていたそうで、それにしても『SKIPPED BEAT』はすごい発明でびっくりしたと原は振り返った。
原の座右の銘
11月20日の放送では、11月10~11日に開催された大阪城ホール公演で、桑田が座右の銘として「冷コーにフレッシュ入れといてやー!」というセリフを紹介し、気に入って何度も繰り返した。
ちなみに原の座右の銘は、昔見たドラマのセリフで「私は逆境に強い女!」だそうで、いつも自分を励ます時に使っているという。
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