社長が語るホリプロがミュージカルをやるワケ
- サエグササエル
- 2023年2月28日
- 読了時間: 4分
株式会社ホリプロ代表取締役社長・堀義貴氏が、2021年4月25日放送のTOKYOFM『空想メディア』にゲスト出演。ミュージカルを手掛ける事への思いを語った。
ミュージカル『生きる』誕生秘話
「好きな映画を言い合ったりしたときに、80超えた作詞家がいるんですけど、この人が、「じゃあ自分のマイベスト10シネマを出そう」って。向こうはオーソン・ウェルズをいっぱい出して来て、そしたら『生きる』を出してきたんです。日本語とローマ字でちゃんと書いてあって、「それは俺も大好きだ。あれはいい映画だ」っていった会話があったんで、うちのスタッフが「第2弾で「生きる」をミュージカルにしませんか?」って言ってきた時に、「ああ、いいじゃない。あいつも好きだって言ってたから」。企画会議5分」
と、わずか5分で企画が決定したという。
さらに、偶然のようで必然と思える続きが。
「『生きる』をやる作曲家はもうちょっと若い作曲家なんですけど、ずっとスランプを抱えてて新しい作品を作らなかった作曲家なんですよね。でたまたまレコーディングで偶然知り合ったところからスタートしたんですけど、「お父さんをせっかくだから自分が指揮してるところを見せたい」って日本に連れてきたんですね。そしたらなんとこのお父さんは学生時代、何度も『生きる』を観てて、もう感激して泣いてるわけです。だからこれはもう必然的にそうなったんだって」と運命的な話を語った。
堀義貴氏とミュージカル
義貴氏は16歳の時、兄のいるニューヨークに行き、ブロードウェイでミュージカルに感銘を受けた。
そしていつか自分もやりたいと思っていたところ、ミュージカルの企画書が届き、プロデューサーの打診が。
だがプロデューサーとしてクレジットされる金額を提示されたがとても飲めず、ノンクレジットの条件でプロデューサーとして参加。
するとその作品が大ヒットし、クレジットされないことに悔しい思いをしたという。
そして次の企画をと思っていたところ、舞い込んで来たのが、映画原作の『迷子の音楽隊』。
無名の作品だったが、ミュージカルは大ヒットし、トニー賞を受賞した。
堀氏はニューヨークのラジオシティミュージックホールの授賞式に出席。
『迷子の音楽隊』のプロデューサーは20人。トッププロデューサーだけが大きいトロフィーを貰えて、その他のプロデューサーは約30万円ほど自腹だそうだが、堀氏は迷わず買ったという。
せっかくだからと映画を観た堀氏だが、「(映画は)つまらない」と思っていた。
だが『迷子の音楽隊』は、東京国際映画祭でグランプリを取っていて、映画祭のプログラムディレクターは堀氏の高校時代の同級生で「ひどいこと言うな」と怒られたという。
そして次の作品を、と思っていたところ、コロナで上演が難しくなってしまった。
このコロナ禍で、「テレビ局は1回も行ってないですけど、役所と議員会館は何十回も行ってますよ」と語った。
演劇をやる意味
・堀氏のポリシー、マイルールとは。
「僕は何にも知らないっていうこと、無知の知って言葉あるじゃないですか。自分は何にも知らないんだっていうのはいつも思ってますよ。そんなことも知らなかったのかって。知ったかぶりするのだけはやめようっていうのは思ってますし、かといってこだわりは全然無いし。こうあらねばならないってことは全然思ってないし」。
・テレビや舞台などを作る上で大切にしている事は。
「自分がもう現場やめて19年になりますから、自分が発信して何かを作るってことって何年かに一遍くらいしかないんです。」
「テレビはやっぱり人を笑わせなきゃいけないっていうのは主ですね」。
「舞台は、華やかなの(『メリーポピンズ』、『ピーターパン』)もやってますけど、でも一方で、演劇ってのは戯曲だからジャーナリズムなんだって、絶対に今の時代に匕首(あいくち)突き付けるような部分がなきゃいけないっていうのがあって、たまにそういうの作れよ、って話はしてて。それで物議を醸そうが何しようがいいんだ、それが戯曲なんだ。どっかで誰かが考えるきっかけになるはずだと。全部言い切ってしまってはダメなものでもあるし、ここから先はお客さんに考えてもらいましょうってのはどっかで持ってなきゃいけない。お客をバカにするなと。困った時はお客を信じなさい。お客は絶対待ってるから」と語った。
その上で、「僕らのことを信じるよりも、最後はお客を信じたほうがいい、とは思ってますね」。
堀氏の手掛ける歓び
お客さんの話のタネやコミュニケーションの素、生きる糧になったという実感を感じることが作り手としての喜びであり、
「舞台の袖から見てて、“ざまあみろ(笑)”と思うのが好きなんですよ」。
また、名前がクレジットされることが嫌いだという堀氏、その理由は?
「芸能界にはよく“育ての親が3人いる”って手上げるけど、そんな口幅ったいことなくて。何が嫌だって、映画のエンドロールに自分の名前が出てくるの大嫌いなんですよ。ほとんどハズレてるわけですから(苦笑)。心に残ってりゃ名前なんかいい」と語った。
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